■デイリーインプレッション:バックナンバー 1999/08/11~1999/08/20
1999年08月[ /11日 /12日 /13日 /17日 /18日 /19日 /20日 ]

1999年08月11日(水)

和食党のわが家は、毎朝納豆を食べる。これが欠かせないという家も結構多い。最近は西の方の人も食するようだ。
大豆は遺伝子組み替え食品の代表とされる。DNAの鎖の一部を切り取り、害虫に強い遺伝子を組み込むのだという。コーンなどもそのようだ。
いま日本では、この遺伝子組み替え表示の法制化を進めている。
ヨーロッパでは、表示どころか、こうした食品を拒否しようとする動きがある。
もちろんこのバイオテクノロジーの分野は米国がもっとも進んでいて、ビジネスとして戦略商品なのだそうだ。そしてこの商品の最大顧客は日本であり、我々消費者の動向にひじょうな関心をもっている。
我々が一番心配なのは、こうした食品が安全なのかということだ。
もちろん現状できうる限りのチェックをして、人体に影響がないとしている。
しかし過去の薬禍事故も承認時点では、問題なしだった。
いずれにしても食べるか食べないかを消費者が決めることになる。そして組み替え商品の入ってないものは当然、価格が高くなるのだ。
弱った!納豆、豆腐、とうもろこし........好きなものばかりだ!
コンクリートは薬(有機物)が入れば入るほど寿命が縮まり、高くなる、なんていう人いませんよね!


1999年08月12日(木)

カジノ資本主義とはよく言ったものだ。
たまたまある週刊誌を読んでいて、アメリカ資本主義をたとえたこの言葉に出会った。なるほどラスベガスは米国人の心のふるさと(?)だ。即席のアメリカンドリームを求めてドルが舞う。
いまロスやシスコでは高額の宝くじ(?)が流行っているという。
カリフォルニア・ロットという6桁の数字を当てるものだ。毎週2本400万ドルというから5億円近くの賞金がでる。当りがないと翌週倍になる。一枚1ドルでコンビニのカウンターで買える。老い も若きも、ホワイトもブラックもヒスパニックも熱中しているそうだ。
株で儲けてるのは米国民の10パーセントのエリート層、60パーセントの人は好景気に縁がないとか。しかしギャンブル民族はそんな庶民にも、手軽に夢を買う仕掛けをセットしている。
日本の宝くじ「1億つかってもまだ2億.....!」には笑ってしまう。
その2億、預金しろということかな。本格的ギャンブル(カジノ)をなかなか認めない日本。しかし将来に対し、公共投資、景気刺激の強気のベット(賭け)だ!財政再建後回しだ。儲かったお金でやろうというわけか。
さて、国が仕掛けるジャパニーズドリームの行方は?


1999年08月13日(金)

私の社会人のスタートはヒューム管工場の製管工からだった。
グルグル回る鋼製の型枠にコンクリートを放り込む仕事だった。
その職場に投入機はなく、スコップの手投げのキツイ労働だった。
工業高校を出た8人の同期がいて、交代でそのキツイ仕事を担当したが、年上の私は、上司の時代錯誤の意図(!)のもと毎日の強制労働であった。
ひとりふたりと辞めていき、半年後に8人が4人となった。
なにか娯楽をとはじめた音楽バンドに、経験のない4人を引き込み、肉体のつらさを忘れさせようとしたのは、楽器の購入費を出した会社の意思であった。仕事を終わっての夜の練習は辛かったにちがいない。逃げ回る彼らを引っ張ってくるのがひと仕事であった。
近くの紡績会社の女子寮から若い娘を集め、クリスマスのダンスパーティを開いたときが彼らの最高のときだったろう。
それから2年もしないうち、残りの4人が辞めた。
先日、跡形もなく整地され、どこかに売却されたというその地に立った時、不覚にも涙がこぼれた。


1999年08月17日(火)

コンクリートは温かく、懐かしい!?
私がコンクリートの存在を意識したのは、あの時からだったかもしれない。
信州の小都市で育った私は、子供のころ、夏は市直営の大きなプールで一日を過ごすのが常だった。帰り道かならず買ったアイスキャンディの味と、プールの消毒のための塩素(?)の匂いを今も思い出す。
長いあいだ水につかっていると、唇が紫色になるほど体が冷えた。そうした体を温めてくれたのがコンクリートだった。狭い、コンクリートむきだしのプールサイドは、うつぶせになった子供たちで溢れたものだった。焼けたコンクリートが、濡れた体となじんで、ちょうどいい温もりとなるのだ。
耳の中に残った水を取ろうと、熱い床に耳を押し付けるとき、かすかに海鳴りが聞こえるような気がしたものだ。そしてまた、水に飛び込む。
いつも一緒に通っていたHとは、飛び込みの技を競い合っていた。いかに音を立てずに、しなやかにを。この場合、水深の浅いプールは飛び込んですぐ体を反さないと、頭をぶつけてしまう。いま考えると実に危険なことだった。
しばらくしてHは、県内のはずれの市に引っ越した。ある夏、彼がプールの事故で死んだという噂が流れた。プールの底に頭をぶつけたのだという。真偽はわからない。その噂以後私は、市直営のプールに通った記憶がない。


1999年08月18日(水)

米国で普及していて、日本でどうもパッとしないコンクリートの化粧技術にスタンプコンクリートというのがある。
生コン打設した床面に、硬化しないうち顔料を散布し、石や岩を型取ったゴム型を押し付ける工法だ。本物に近い写実性と、落ち着いた色調が受け、米国では業者団体ができているほどポピュラーである。
脱サラでやるライセンスビジネスにもなっていて、邸宅のアプローチなどいいマーケットだそうだ。
米国からの導入組を含めて、日本でも数社が営業しているが、もうひとつである。
施工能率が悪い、色粉が風に舞う、養生期間が長い、などいろいろ短所もある。
日本の左官技術をもってすれば、米国程度には普及させることができるはずである。
ところが、こうした工種間をまたがる工法は、水平分業に慣れた下職業界にとって煩わしいだけのようだ。スタンプする左官屋は舗装コンクリートには門外漢だし、舗装屋は化粧工程の管理はしない。タイルやILBのように工程がキチンと別れないのだ。
ゼネコンを頂点とするヒエラルキーは、工事全体の品質保証の面で貢献したにちがいない。しかし、この堅固なシステムがアウトサイダーの新しい技術や工法の普及に大きな壁になったことがあったことも事実である。


1999年08月19日(木)

米国の現代ヒーローナンバーワンはマイケルジョーダンだそうである。
プロバスケット選手で、昨年余力を残したまま引退したあの黒人だ。一時期大リーグの選手にもなり話題を誘った。とにかく引退した今も大変な人気で、彼のネームを冠したグッズは何でも売れるのだそうだ。日本と同様スポーツ選手は強い。ビルゲーツは第二位だそうだ。ビジネス界のアメリカンドリームの最高体現者だが、やり方が強引のイメージがあるようで、反発する人も多いとか。
女性では、やはりヒラリークリントン大統領婦人のようだ。セックススキャンダルにまみれた夫を擁護し、内面の苦悩をじっと耐えてきた強さと、彼女本来の知性とのミックスが好いイメージをつくっているという。
しかし、意外なことに、米国人の多くは両親をヒーローに上げるという。
確かにアメリカンドリームを実現したヒーローたちは、名声と富を手にしただろう。この上ない幸福も味わっているかもしれない。しかしこの時は人生からみればほんの一場面だ。しかし、親はいつも、いかなる時も子供たちの支えになり、目標になり、惜しげなく愛をくれる。そしてそれは永遠に変わらない。
一瞬のきらめきより、地味な永続に価値を見る人がいるということだろうか。大国アメリカの健全さを感じさせる話である。さて、日本の場合はどうですか!


1999年08月20日(金)

昨年、秩父の武甲山を訪ねる機会があった。
石灰石の山ぐるみ採取で有名なところだ。セメントや石灰の工場が隣接している。
長い坂の坑道を車で登って、頂上採石場に出る。そこは広々としていた。
来世紀の中ごろには掘り尽くし、ひとつの山が消えるのだという。頂上付近には植林した若い木々が白い岩肌に点在していた。
ここの石灰石からつくられたセメントが、多くの近代的構造物を生み出してきたのだ。切り出した石を積み、ピラミッドをつくるように、文明とは地球の表面を削って、別の瓦礫の山をつくることかも、なんて。
石灰石は焼成すると生石灰になる。水で消化すると消石灰になる。石灰石を微粉に砕いたのが炭酸カルシュームだ。セメントに使わなくとも、これらの用途は、建設をはじめ鉄鋼、化学、肥料、食品と幅広い。日本で自給できる代表的な素材なのだ。そしてまた代表的な成熟しきった素材だそうだ。少々の用途技術開発では大量のボリュームは捌けず、もはや業界は縮小均衡しかない、と案内してくれた石灰メーカーの常務さんが力説した。
先週、秩父のその石灰メーカーを再び訪ねたとき、くだんの常務さんが、生き残りには新商品開発を、と縮小均衡論を否定したのを聞いたとき、かすかな景気の回復の足音が聞こえたように思ったが、本当なら嬉しいのだが..........。


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