こんにちは。
コンクリート診断士になって1年、その後の研鑽があまりできていないことを反省し、改めて勉強し直しているところです。
その中で「中性化とアルカリ量」の関係性が良く分からず、質問します。
コンクリートの中性化で、アルカリ量(Na2O,K2O)が多いほど中性化しやすいという趣旨の文章が
コンクリート診断技術やコンクリート診断士の参考書に載っているのですが、その理由が
「ナトリウムやカリウムが炭酸と反応してできる炭酸化合物は溶解度が大きいが、
炭酸カルシウムは溶解度が小さいため、選択的に進行が進むから」
となっており、私にはこれが「炭酸カルシウムが選択的に生成される理由」であって、
「アルカリ量が多いと中性化しやすい理由」には思えず、詰まってしまいました。
そこでネット上で中性化についての論文を読み解いていった結果、以下の論文に行き当たりました。
「化学平衡論を導入したコンクリートの炭酸化モデルに基づく空隙率評価に関する研究」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsceje/62/3/62_3_555/_pdf
この論文の主題は別ですが、前提条件の一つとして上述の疑問の理由が解説されていました(と、私は思っています)
この論文から、上述の疑問の理由について以下のように整理しました。
@ pHが高いと二酸化炭素は水に溶けやすくなる
A セメント由来のNa2O,K2Oは水和反応で強塩基の水酸化物になるため、アルカリ量(Na2O,K2O)が多い=pHが高い
B 炭酸はNaやKともイオン結合するが、即座に溶けて電離してしまう。そのためpHには影響しない
C 逆にCaと炭酸はイオン結合すると難溶性のため、集中的にCaが消費される
D 炭酸カルシウムは難溶性のため、細孔溶液のpHにはほとんど影響しない
E 細孔溶液のCaが消費された分、化学的平衡作用でC-S-HのCaが溶け出し、炭酸の水素イオンによるpH低下を打消す
F C-S-HからCaの供給がなくなるまでpHの相殺が続き、高いまま保たれるため、二酸化炭素の供給促進が続く
G C-S-HからCaの供給が途絶えた段階で、炭酸による水素イオンの供給により中性化が進行する
H 二酸化炭素はpHが下がるにつれ水に溶けにくくなるため、pHは8〜10.5程度で安定する
要するに(Na2O,K2Oによる)アルカリ量が多い⇒細孔溶液のpH上昇⇒炭酸の溶存が促進が、
本来の「アルカリ量が多いと中性化が促進される」理由ではないかと考えたのですが、理解として合っているでしょうか?
Na2O,K2Oの存在によってpHが高いことが、逆に中性化を早める結果になり、なんとも皮肉だなぁと感じています。
長文失礼しました。
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