■亀の子コンクリート考
第十九回:プラスチックはリサイクル、コンクリートはリペア 小林 映章

無機材料の代表はコンクリートであり、有機材料の代表はプラスチックである。現在両者とも極めて大量に使用されている。極めて大量に使用されているだけに、資源の問題は別にしても、発生する大量の廃棄物の処理が問題になっている。廃棄物の処理といっても両者を同じように考えることはできない。プラスチックについては早くからリサイクルが提唱されている。ここでリサイクルを「原材料に再生」と考えるか「再利用」と考えるかによってやり方が異なっていくる。現在プラスチックの処理は主に再利用を主眼にして実施されている。しかしプラスチックの本来の性質から考えると、原材料への再生を主眼にすべきではなかろうか。それに対してコンクリートでは再生は考え難い。

大部分のプラスチックは炭素・炭素が線状に結合した構造 —C—C—C—C— を基本にしている。この構造の化学結合は熱や溶剤により動きやすく、これを基本とする物質は液状にすることが可能で、一旦溶液状に出来れば結合を切断して、元の低分子の原材料に戻すことができる。プラスチックでも上記のような線状の構造をしたものを、熱や溶剤に対する耐性を増すために互いに橋架けして、熱や溶剤に溶けないようにしてしまうと、これを原材料に戻すことは困難で、再生は考え難くなる。プラスチックではないが、有機の高分子物質でもエポキシ樹脂のように線状の高分子化合物と架橋剤を反応させて三次元の橋架け構造を作らせたものはもはや再生を考えることはできない。

コンクリートはセメントを骨材などを介在させた状態で水により架橋(水和)させて不溶性の三次元構造体に変化させたもので、架橋させたエポキシ樹脂に類似している。したがって硬化したコンクリート廃棄物を再生させることはほとんど不可能と考えてよかろう。コンクリートはエポキシ樹脂とは異なり無機物であるから、水などの溶媒には溶けなくなっても、高温に加熱してエポキシ樹脂の架橋剤に相当する水を除き、原材料に戻すことも可能であろうが、熱容量の大きい骨材を大量に含む硬化コンクリートを加熱して元に戻すことは熱効率的に容易でない。

現在は、本来再生可能なプラスチックでも多くは原材料に再生するのではなく再利用が図られている。元の材料に再生できるものでもちょっとした不純物の混入とか消費者の心理を考えて別のものに再利用されているケースが多い。よく知れれているように、ペットボトルは元の材料に戻せるがボトル原料としては利用されずに、多くは繊維に加工されて、ポリエステル衣類などとして利用されている。リサイクルは製品を作る段階から社会全体でリサイクルを前提に考えていかないと成立しない。

コンクリートは本質的に再生が難しく、また再利用も簡単ではない。再利用がいくら難しくても、コンクリートもリサイクルがなされなければならないが、当面はリペアが主体ではなかろうか。プラスチックなどと異なり、コンクリート構造物は耐久構造物である。耐久構造物であるが故にリサイクルの前にまずリペアを行って使用期間を延長するのが社会的にも個人的にも得策であろう。


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