■私のコンクリート補修物語
第2部 アルカリ骨材反応 堀 孝廣

2.3 アルカリ骨材反応のメカニズム

 アルカリ骨材反応のメカニズムは、未だ十分に解明されているわけではない。

 ここでアルカリ骨材反応に関する研究者の学説を紹介しても、到底整理した文章にはなりそうもない。そこでここでは、教科書ではないと開き直って、私はこう考えているということを紹介したい。以下に、私が考える反応機構を示す。

ステージ1: 反応性骨材が、高濃度のアルカリ溶液と接触
ステージ2: ナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)が骨材中に浸透し非晶質のSiO2を溶解し、ある種の水ガラス〔Na2O(K2O)・nSiO2〕を生成。
このとき、カルシウムイオン(Ca++)は及びシリカとの反応性から骨材中に浸透できない。
ステージ3: 生成した水ガラスは骨材表面に溶出する。ここで、カルシウムイオンと接触し水ガラスがゲル化する。骨材内部での水ガラスの生成と表面でのゲル化を繰返し、ゲル層が生成される。一部はカルシウムと反応し(ポゾラン反応)カルシウムシリケートとなるが、ゲル層中にカルシウムイオンは浸透できないため消費されてしまうことはない。
ステージ4: 生成したゲル層が、水を吸収して膨張する。

 以上が、私が考えるアルカリ骨材反応のシナリオだが、あたらずともとも遠うからずと思っているのだが、果たしてどうだろうか。


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