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伊藤教授の土質力学講座
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第7章 斜面の安定
7.3 摩擦円法
本法は、斜面が、摩擦抵抗および粘着力のある均質な土で構成される場合
の比較的、精度のよい図解法である。すべり円の上に、摩擦円とよばれる半
径R・sinφ の円を描き、この助けをかりて、解析を進めていくことから摩
擦円法の名がついている(図−7.7)。
(a)いくつかのすべり面を仮定し、それらについて、(b)以下の計算を
繰り返し同じように行い、安全率の最も低いものを、その斜面のすべり面と
する。すべり面の仮定にあたっては、7.1.3 斜面の破壊の型を参考にする。


(b)仮定すべり面に囲まれる扇形の全重量Wと、すべり面に働く中立応力
Uを求め、これらの合成力Bを決定する(図−7.8参照)。


自重Wは図−7.9(a)のように扇形OADB、△OACおよび△OBC
に分けて考えると、その重量や重心が求めやすい。重量は、実際の図形の寸
法を測定するか、セクションペ−パ−(透写紙)をあてがって、そのおおう
面積をはかって、土の単位重量をかけて求める。扇形OADBの重心Gi は、
すべり円の中心Oから次の距離(yo) にある。


ここに、R:すべり円の半径(m)
θ:すべり円弧を含む中心角(度)
中立応力Uは、この斜面の流線網(3.土の透水性と毛管現象、参照)か
ら求められる。図−7.9(b)のように円弧を5~12等分し、各分割弧の中
央における中立応力を、流線網から求めて、すべり面の外側にO点に向けて
記入する。中立応力はすべり面に直角に作用し、自重を減殺するように働く
からである。このようにしてできた応力分布ADBEは、このすべり面に働
く中立応力の分布図である。この図から力の多角形を描き、全中立応力Uを
求める。Uもまた、すべり円の中心Oの方向に働く。
(c)合成力Bを図−7.10のように、すべりに抵抗する粘着力cと、有
効応力Pとに分ける。
粘着力cは図−7.11(a)のように、すべり面ADBにそう粘着力の総
和であるが、これは弦ABに平行に働く。なんとなれば図−7.11(b)に
みられるように、すべり面の微小粘着力ds、ds' をとって、それぞれ弦A


Bに平行な成分Δcd、Δcd' と、これに垂直な成分Δh、Δh' に分ける
と、ΔhとΔh' は向きが逆であるから、ΣΔh=0となり、弦ABi平行
な成分のみが残る。
粘着力cの働く位置は、O点についてモ−メントをとると


弧AB>弦ABであるから、x>Rとなり、粘着力cは図−7.11(a)
のごとく、すべり円の外側にくる。
また、有効応力Pは、土に内部摩擦角φがあるため、すべり面に垂直には
働かず、φに近い傾きをなして作用する(図−7.12参照)。すなわち、
KPsinφd の半径をもつ摩擦円Oに、接するような傾きで働く。


これは、すべり面の各分割に働く有効応力のひとつひとつは単純な摩擦円
(半径=R・sinφd)に接するけれど、それらの合力であるPは、多少これ
よりずれて働くという理由によるものである。この修正係数Kは、反力の分
布とその中心角によって変わるが、図−7.13には、反力が等分布および
正弦分布の場合について示してある。このようにして、摩擦円の半径を修正
することができるが、近似的にはK≒1として、取り扱って、ほとんど支障
はない。
(d)以上のようにして合成力Bは、一組みの粘着力cと有効応力Pとに分
解された。すなわち、一対の粘着力cd と内部摩擦角φd を選んだのである。
合成力Bの分解の方法は、図−7.10のようにいく通りも考えられるが、
いま実際の試料を試験して求めた粘着力をce 、内部摩擦角φe とすると、
粘着力の安全率Fc および摩擦係数の安全率Fφ は次のようになる。


一般の土のせん断強さは、摩擦力と粘着力とからでき上がっているから、
図−7.14のように、Fc=Fφとなるようなceとφe(すなわちcとP)
を選択し、この安全率Fs を、このすべり面に関する安全率とする。



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