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水の話
ノスキッド仕上げ研究会
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■水の話 〜化学の鉄人小林映章が「水」を斬る!〜
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2章 いろいろな水 小林 映章

2.1 溶解成分の異なる水

2.1.2 無機塩類溶存水
(3)ミネラルウォーター
 硬水・軟水について調べたついでに、息抜きのつもりで近年盛んに販売されるようになったミネラルウォーターについてみてみましょう。

(ミネラルウォーターとは)  ミネラル(mineral;鉱物)とはどういうものでしょうか。化学辞典と広辞苑によると次のように定義されています。

【化学辞典】:
"天然産無機的均質物質で、ほぼ一定の化学組成と原子配列を持つものとして定義される自然界の構成要素の一つである。ミネラルは地殻を構成する物質の最小単位であり、常に集合として産し、岩石、鉱床、土壌、水、氷といった単位を構成する。"
【広辞苑】:
"@鉱物、無機物。  A栄養素として生理作用に必要な微量元素の称。普通無機塩類の形で摂取される。カルシウム、鉄、亜鉛、コバルト、マンガンの類。"

(ミネラルウォーターのミネラルは)
 さて、ミネラルウォーターのミネラルとは何でしょう。広辞苑で定義されている「@鉱物、無機物」に相当するはずです。したがって、化学辞典に云う、天然産の無機的均質物質であればよいことになります。このことは1990年に発表された「ミネラルウォーター」についての農林水産省のガイドラインを見るとよく分かります。すなわち、

【農林水産省のガイドライン】:
「ミネラルウォーター」は下記の4種類に分類される。
  1. ナチュラルウォーター: 沈殿・ろ過・加熱殺菌以外の処理をしていない水。
  2. ナチュラルミネラルウォーター: ナチュラルウォーターのなかでも。ミネラル分が天然の状態で溶け込んでいる水(地下で滞留又は移動中に無機塩類が溶解したもの・鉱水・鉱泉水等)。
  3. ミネラルウォーター: ナチュラルミネラルウォーターを原水に、ミネラルの調整を人為的に行った水(複数の原水の混合・ミネラル分の調整・ばっ気・オゾン殺菌・紫外線殺菌等)。
  4. ボトルドウォーター: 上の3種類の水以外で。処理方法の限定がない飲用できる水(原水は水道水など飲用できれば何でもよい)。
また、食品衛生法では、
【食品衛生法】:
"水のみを原料とする清涼飲料水を云い、鉱水のみのもの、二酸化炭素を注入したもの、カルシウム等を添加したもの"  (〔注〕鉱水とは無機塩類を多く含む水のこと)
とされています。

 私達の感覚では「ミネラルウォーター」と称するからには、特別無機塩類を多く含む水のように思われますが、実際には何の処理も加えなければ、硬度10mg/l以下の著しい軟水でもミネラルウォーターであり、二酸化炭素を吹きこんだ炭酸水は勿論ミネラルウォーターで、水道水を瓶詰めすればそれだけで「ミネラルウォーター」になります。

 学術的には水H2Oもミネラルであり、また農水省のガイドラインに従えば飲用できる水で瓶に詰めてあればミネラルウォーターですから、普通の水を「ミネラルウォーター」として売られても文句を付ける筋合いのものではありません。

(実際に市販されているミネラルウォーターは)
 どんな水でもミネラルウォーターと称してよいわけですが、市販されているものは大部分がナチュラルミネラルウォーターです。しかし、ここにも落し穴があって、地中においていわゆるミネラルが溶解した地下水で、沈殿・ろ過・加熱殺菌以外の処理をしていないものがナチュラルミネラルウォーターであり、成分(量)の規定はありませんから、特定の場所で汲み上げた地下水はほとんど当てはまることになります。したがっていわゆるミネラルが入っていなくてもミネラルウォーターと呼んで何ら差し支えないでしょう。詐欺でも何でもないわけです。例えば、ハウス食品工業の「六甲のおいしい水」は六甲山麓(神戸市)の住宅地の一角にある地下100mの井戸から汲み出したものであり、サントリーの「南アルプスの天然水」は同社ウイスキー蒸留所(山梨県)の地下70mから汲み上げたものです。要するに井戸水です。

(国産と外国産の違い)
 ミネラルウォーターには国産品と輸入物があります。その違いは大まかに云って次の2つです。

  1. 一般的に国産はミネラルが少ない軟水で硬度は水道水とそう変わらないのに対して、輸入物には硬水あるいは硬水に近いものが多く、ミネラル分が多い。
  2. ほとんどの国産品は加熱殺菌をしているのに対して、フランス産はまったく殺菌や除菌をしていない(その代わり、水源の周囲を環境保護区にして水質保全をしている)。

(何故ミネラルウォーターブーム)
 1983年ハウス食品工業が家庭向けに「六甲のおいしい水」を発売したのを契機にブームが起きたと言われていますが、水が人体に有害な物質で汚染されている、臭くて飲めない等の問題があったとは云え、その中身を余り知らないままにこれに飛びついている日本人の姿は、何か最近の政情に対する日本人の対応に似ているようです。

 水道水には厳密な水質管理が義務付けられていますが、ミネラルウォーターに関してはそれがなく、地下水を汲んで、殺菌するだけでミネラルウォーターとして許容されます。それを非常に「有難いもの」として利用している現状は余り感心出来るものではありません。

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