Re[3]: コンクリートの静弾性係数について

ジョイナー wrote.

>御返事、ありがとうございました。
>
>もう一点質問です・
>　日本建築学会の「高強度コンクリート施工指針(案)・同解説」の「2.3ヤング係数」の推定式おいて、コンクリートの気乾単位容積質量の算出方法について教えていただけたらと思います。一般の生コン工場に設置されている乾燥器は1ヶの場合が殆どと思われます。この乾燥器は日常の骨材試験で100〜110℃程度で用いられ、その他の用途で使用することは厳しいかと思われます。そのため生コン工場でJASS5N T-601の試験方法に対応できない工場が多いものと思われます。
>となると、コンクリートの気乾単位容積質量の算出は外部試験で実施してもらわなければならないのでしょうか？もしくは、その他の試験方法(もしくは救済処置など)あれば教えてください。

ご指摘のとおり「高強度コンクリート施工指針(案)・同解説」では静弾性係数の推定式において気乾単位容積質量を代入する必要がありますが、この値については同指針(案)　2.5単位容積質量　の項に「コンクリートの気乾単位容積質量は、使用する材料、調合により異なるため、実際の調合により定めることが望ましいが、構造設計の初期の段階から部材の重量を算定することが必要となるため、「鉄筋コンクリート造構造計算基準・同解説」では、特に調査しない場合、解説表2.2に示す数値を用いてよいとされている。」と明記され、一般的な(かなり大雑把な数値ですが)値が示されていますので、これを用いるのが一つの考え方かと思います。

ただ、もう少し厳密に推定したいと言うことであれば、JASS 5N「原子力発電所施設における鉄筋コンクリート工事」をお持ちのようですので、当該規格の　5.8　単位容積質量　の項に、下記の通り乾燥単位容積質量の推定式が定められておりますので、これを用いても良いかと思います。

Ｗ＝Go+So+1.2Co+w
ここで、Ｗ：乾燥単位容積質量(kg/m3)
Go：計画調合における粗骨材量(絶乾)(kg/m3)
So：計画調合における細骨材量(絶乾)(kg/m3)
Co：計画調合におけるセメント量(kg/m3)
w ：コンクリートの含水量(kg/m3)

なお、ここでw＝0とすると絶乾状態の単位容積質量となってしまいますので、気乾状態であればwの値を想定する必要があります。
なお、ご指摘のJASS 5N T-601「コンクリートの乾燥単位容積質量試験方法」ですが、ご承知かもしれませんがこの試験方法は原子力発電所等の施設に用いられる遮蔽用のコンクリートを対象としたもの(通常の気乾状態を想定したものではない)で、運転時の温度上昇や放射線の吸収によりコンクリートが高温化した場合の乾燥状態を想定するため65℃で恒量となるまで供試体を乾燥させる試験方法ですので、一般構造物の場合における気乾状態よりも水分逸散量はかなり大きくなり、気乾状態よりもむしろ絶乾状態に近くなってしまうことをあらかじめご承知おきください。
また、通常の生コン工場の乾燥器はご指摘の通り65℃でなく、100〜110℃で運転されておりますので、これらの温度条件下の乾燥器での試験も可能なように同指針ではJASS 5N T-602「コンクリートの乾燥単位容積質量促進試験方法」を規定しておりますので、こちらの試験方法を採用されるのも一案かもしれません。ただし、この試験法条件下では、一部のセメント水和物中の結合水も逸散しますので、より乾燥側の試験結果となってしまうこともご承知おきください。
詳細は同指針をご覧願います。

ご隠居

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2008-06-25 04:24:04

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