Re[2]: RC断面計算のヤング係数比

ミネルバ wrote.

>ポンセ wrote.
>
>>許容応力度法でRC断面計算を行う際に
>>ヤング係数比ｎ=15とするかと思いますが、
>>（合成作用を考慮する場合は、ｎ=７）
>>ｎ=15の算出根拠を教えて頂けないでしょうか。
>
>昭和6年制定の土木学会鉄筋コンクリート標準示方書解説では、ヤング係数比nについて15を採用した理由について以下の通り説明している。
>
>【第71条　弾性係数】
>　断面の決定又は応力算出の場合に於いては、鉄筋及びコンクリートの弾性係数はそれぞれEs=2,100,000kg/cm2、Ec=140,000kg/cm2とす(弾性係数比n=15)。
>【解説】
>　本示方書の計算方法は、鉄筋とコンクリートが充分に付着し、両者が等量の変形をなすものとの仮定から出立している。したがって、設計及び施工上この仮定が充分成立し得るため種々の注意が必要である。
>さて材料の弾性係数は、応力と単位変形との比であるから、鉄筋とコンクリートが等量の変形をなすものと仮定すれば、両者における応力の比は両者の弾性係数の比に等しい。
>鉄筋の弾性係数を2,100,000kg/cm2に取ることについては説明を要しない。コンクリートの弾性係数は鋼の弾性係数の如く常数でない。元来コンクリートの応力-変形曲線はほとんど始めから曲線をなし、またコンクリートは比較的小なる応力に対しても恒久変形を生ずるものであるから、鋼の場合と同様にして弾性係数の値を求めることができない。したがって、コンクリートの弾性係数について確定された定義もない。鉄筋コンクリートの計算に於いては鉄筋とコンクリートが等量の変形を生じた時に於ける応力の比を知るために、コンクリートの弾性係数が入用なのであるから、この目的を達するように選ばれた数値がコンクリートの弾性係数と考えても良いのである。コンクリートの弾性係数を以上の意味に解釈してもこの数値は同一コンクリートに於いてさえ応力の大小によっても異なり、また材料、配合、使用水量、材齢等によっても異なるのである。ゆえに理論上正しい計算をするためには、各種のコンクリート及び応力状態に対するコンクリートの弾性係数を知ることが必要である。これは今日の所では実際上不可能のことである。それで、実用の立場から鉄筋コンクリートの桁において、本示方書の如き計算方法によって計算した中立軸の位置と、実験で得られた中立軸の位置とが実際上の目的に対してよく合うようにするには、コンクリートの弾性係数を如何程にとればよいかの実験が沢山行われた。これらの実験の結果によって、断面の決定及び部材の安全を検するための応力の計算に対しては、コンクリートの弾性係数の値を140,000kg/cm2にとること、すなわち鉄筋とコンクリートの弾性係数の比を15とするのが実際上便利で、適当であるということが広く認められるに至った。・・・しかし、コンクリートの弾性係数は、配合、使用水量、材齢等によっても異なるものであるから、せめてコンクリートの抗圧強度に応じて弾性係数の値、したがってnの値を変えてはどうかということも考えられるが、理論上はとにかく実際上これがどれだけ有効であるかということは疑問であるから、本示方書ではこれを考慮しなかったのである。
>
>※原文は旧漢字・旧仮名遣いですが、筆者が随時訂正しています。

詳細な解説、ありがとうございます。大変勉強になりました。
コンクリート構造物の設計法は、許容応力度、限界状態、性能設計と変わってきており、一見、合理化・高度化されているように見えますが、解説にあるような基本的なところは何も解決されていないように感じます。
極論すれば、昭和６年（８０年ほど前）からコンクリートの基本的なところは何も解明（設計に定量的に反映できるような知見）されていないのかもしれません。（個人的には、確率論とか信頼性理論だとかでごまかされているような気がします。）

許容応力度法

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2009-03-27 19:40:07

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