■私の“プロジェクトX”「無騒音工場への挑戦」
学会発表 高木 利彦

 当初、材料承認願いなどはスランプフローという表記をしていても官公庁は気づかずに流れていたのですが、やはりこのコンクリートの技術的な評価を得る必要があると言うことで、フランスで開催される国際学会に発表しようかということになり、まずアブストラクトを送り本論文も半年後に送ったのですがまさか論文が最終審査を通る等とは研究会のメンバーも誰一人思っていなかったと思います。

 当時東京大学の友澤教授が学会のメンバーで最終の内容確認をしたいからという話がありお伺いしたのですが、僕らの書いた論文が本当に発表出来るのかと信じられない気持ちでした。

 学会にて論文発表したということが幾つかの業界紙に掲載され、同業者から工場見学の希望が相次ぎ、対応すると業務に差し障りがあるため全部お断りしていたのですが、どうしても断れない皆さんからたっての希望があり、見学会を行うことになりました。

 工場見学と論文内容の説明会とを行ったのですが、どうしても使用している混和剤と配合に話がいってしまうのですね。僕としては高流動コンクリートというのはまずは設備・配合・混練り方法・取り扱い方法が大事で鼻薬を入れると高流動コンクリートが作成出来ると思われていることに(今でもそういう方が多いのかも知れませんが)ガッカリしたのですが。

 このギャップはなかなか埋まらないものだという事をこの会合において肌で感じました。しかし見学会後に2社の方が高流動コンクリートをやりたいということで技術移植しました。


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