■コンクリート製品技術者のための離型剤入門
3. コンクリート製造条件との関連 荻原 純一

 コンクリート製造条件と離型剤との相関については非常に多くの要因が相互に関連していると考えられ、それぞれの因果関係を独立して明らかにしたり、総合的にまとめることは困難であるが、以下に若干の傾向を記述します。

(1) コンクリート配合

1.低スランプ エントラップドエアーの大きな気泡が出易い。
打設と振動のせん断により離型剤が摩耗を受け減少する。
場合によっては脱型性が低下する事があるので離型力のより強いものに変える必要がある。

  2.高スランプ   軟らか過ぎると脱泡する前にブリージングが起き易いので振動を止めてしまい、気泡が残る。(エアー気泡,水気泡)
撥水性の低いものや化学吸着型を適度に利用した離型剤が適していが、配合や振動条件の見直しも必要となる。
型枠面に脆弱層が出来やすくスケールが出易いので粘性の低い離型剤が適する。

  3.セメント富配合   セメントに粘りが出るため、充分に振動をかけて脱泡しないと気泡が残る。

  4.高流動   条件によって気泡が出易い(特にフロー60㎝以下)。
気泡低減には微振動を用いた方が効果がある。エントラップドエアーは脱泡しにくいので型枠形状により打設方法や速度の検討が必要となる。型枠面の脆弱層がなくスケールは少ない。消泡性の高い離型剤や水溶性離型剤も検討する必要がある。
増粘剤系は脱型時強度不足で脱型不良となる場合がある。

  5.骨材   川砂、玉砂利から砕砂、砕石に変わると鋭利な形状により離型剤に対する研磨作用が強まる結果、離型力不足や型枠のスケール(除去性が悪い)増大などの傾向となる。
離型剤的な対策としてはより離型力の強い(対摩耗性の良い)ものに変える必要があります。

  6.泥 分   泥分が多いコンクリートは場合により粘りがでて気泡が抜けにくくなったり(エアー気泡)、型枠のスケールや製品の色付きに害を与えるものもある。

  7.混和剤   種々の影響があり一様ではない。減水剤やAE剤は界面活性作用を持つために油とセメント液の混和を促進するものが多い。
この影響により、離型力や型枠のスケール、色付きなどに悪影響を及ぼすものがある。
AE剤では1mm程度の気泡が多くなる。高性能減水剤ではナフタリン系よりポリカルボン酸系の方が気泡が抜け易い傾向が見受けられる。


(2) 振動条件

1.気泡
 気泡を軽減する主な方法は、コンクリート中に含まれたエントラップドエアーの大きな気泡はコンクリートの表面まで上昇してきて逃げるので粘り気の強い砂の量が多いコンクリートを避け、コンクリートの打込みを比較的浅い層で止めて充分な振動を与え、型枠に沿って鋤切りを行えば、表面気泡は少なくなる。又、離型剤を過量に塗布したり、粘り気の強い油を用いることを避けると表面気泡は少なくなる傾向がある。

 振動を有効ならしめるためには、気泡が逃げうる時間を与えるだけの間、連続しなければならない。

 振動の適当な継続時間は、コンクリートから出る気泡がなくなるのを見てて決めることが出来る。

 コンクリート打込み時間中 8,000回転/毎分振動を連続適用する事によって気泡が小さくなるという事が実証されている。

 振動は気泡を型枠面に追いやる物ではない。液体内部にある気泡は水平には動かない。

 気泡は対角線的に昇りコンクリートの、より液体的な部分へ移動する。

 こうして気泡は振動機の方へ、また、もし型枠に振動が与えられていれば型枠の方へ移動するので、棒バイブレーターよりテーブルバイブレーターを使用した製品の方が表面の気泡が残り易くなる。

 又、型枠の形状がコンクリートの方向へ向かって緩傾斜している場合に、表面に気泡や孔隙がなくなるようにする方法はほとんどない。AE剤によって連行された微細な気泡(エントレインドエアー)は振動によってほとんど失われないといわれている。又、AEコンクリートではなく、減水効果を目的に減水剤を使用するコンクリートの場合は、消泡剤をコンクリートに混入し、コンクリート内の空気を少なくする方法がある。

 離型剤的な対策としては、水溶性離型剤を使用するか、又は、油性離型剤の中から比較的消泡効果の強いものを選定することにより、かなり表面気泡は少なくなりますが、この気泡を少なくするための消泡添加剤(界面活性作用を持つ)が多くなり過ぎて、製品の色付き、型枠のスケール等が多くなると言う問題が発生することがあります。

2.製品の色付きと脱型性
 離型剤塗布後、コンクリート打設及び振動締め固めを行いますが、この時に離型剤はコンクリートによる研磨作用や界面の化学作用(セメント液中のアルカリ分,カルシウムイオン,混和剤の界面活性作用、泥分中の有機質等)を受け最終的な離型性能に影響を及ぼされます。その影響は、次のような傾向となります。


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