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伊藤教授の土質力学講座
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第2章 土の基本的性質および物理的性質
2.5 土のコンシステンシ−
2.5.1 コンシステンシ−の状態と限界
粘土のような細粒土を水でどろどろになるまで練って容器に詰め、それを
だんだんに乾かしていくと、土は乾燥されていくに従って収縮する。また、
乾燥収縮に伴って初めのきわめて柔らかい状態からだんだんに土は固くなっ
ていくことがわかる。
このように水分の変化に伴う土の硬軟の状態を追って観察してみると、
(1)一定の形を保ち得ない液状あるいは半液状状態
(2)指でおさえると、割れないで自由に変形するプラスチックな状態
(3)もろく、こねると割れるような半固体の状態
(4)固くて指で押しても容易に割れない状態
といったような状態の変化がみられる。
このように同じ土でも含水量の変化によって土の変形の度合や抵抗力の違
いが生ずる。このような性質を土のコンシステンシ−と呼んでいる。
アッタ−ベルクは、この状態の移り変わる限界を液性限界、塑性限界およ
び収縮限界と名づけ、おのおの規定した試験でその状態の限界を見いだし、
その限界における含水比をもって表わすようにしている。
表−2.5にコンシステンシ−の状態、限界の定義および規格試験方法を
一括して示した。
 
表−2.5 含水量の変化による土の状態の変化とコンシステンシ−限界
 


2.5.2 コンシステンシ−試験から得られる諸指数とその利用
土のコンシステンシ−は土の種類や性状によって著しく変化するものであ
るが、この特性を利用して、土の工学的性質を推定したり、また土の工学的
分類に利用する。
コンシステンシ−限界をもとにして得られる諸指数から次のようなことが
知られる。
 
(1)液性限界(WL)−−無機質粘土では、WLが100%をこえることは少
ないが、有機質火山灰土あるいは有機土では100%をこえることが多い。
無機質土でもベントナイトでは、WLが400%という高い値を示す。一般にモ
ンモリナイト系の粘土鉱物を含む粘土のWLは高く(50%以上)、カオリナ
イト系の粘土鉱物を含む粘土のWLは低い(50%以下)。
 
(2)塑性限界(Wp)と塑性指数(Ιp)−−Wpと、同じ土の締固めにお
ける最適含水比woptとはほぼ同じ値である。土粒子が板状のものは(雲母
質の土)一般に塑性が高い。
WLが高いわりにΙpが低いものは有機質土である。
 
(3)流動指数(Ιf)−−液性限界試験から得られる流動曲線(w~logN関係)
の傾度を流動指数と呼び、次式で表わされる。


ここに、wおよびwは、流動曲線における落下回数NおよびNに対
応する含水比である。
 
(4)タフネス指数(Ιt)−−ΙpとΙfとの比、すなわちΙp/Ιf=Ιtを
タフネス指数と呼び、その土のWpにおけるせん断強さの度合を表わす。
Ιtの高い土ほどコロイド含有率が高い、またモンモリナイト系のような
活性の高いコロイド分を含む土ほどΙtが大きい。
ほとんどの粘土は、Ιt=0~3であるが、活性の高い粘土では5を示す
ことがある。
 
(5)コンシステンシ−指数(Ιc)と液性指数(ΙL)−−自然含水比wが
WLとWpとの範囲内でいずれの側にあるかを、WL−wおよびw−Wpで表わ
し、Ιpに対する比で表わしたものである。すなわち

 
自然含水比がWpに近いほど土は安定であり、WLに近いほど不安定である。
したがって、Ιcにおいては1、ΙLでは0が安定である。
たとえば粘土地盤では、Ιc=1あるいはΙL=0に近い場合、土はかたく
強度が大きいので安定しているが、Ιc=0あるいはΙL=1の状態のものは
軟弱でわずかの撹乱を与えても不安定である。
また、ΙLは粘性土地盤における応力履歴を判断するのに役立つ。
正規圧密粘土ではΙL≒1、過圧密粘土ではΙL≒0となる。すなわち圧密
された程度によってΙLは1から0へと近づく。
ΙL>1の粘土は鋭敏な粘土で、ΙL<0はきわめて過圧密な粘土である。
 
(6)活性度(A)−−粒径0.002mm 以下の粘土含有量に対する塑性指数の
比を活性度といい、次のように表わす。


 
Aは表−2.6に示すように粘土を成分・性状に応じてぶんるいする場合
に役立つ。またΙpは、同種の粘土では粘土の量に比例するということと、
同系統の土のAはほぼ一定となることから、同種の土の判別・分類に役立つ。
 
表−2.6 活性度による粘土の分類

 
コンシステンシ−諸指数とその利用を述べたが、そのほかに正規圧密粘土
の圧縮指数の推定にWLが用いられるとか、土の工学的分類に際して、その
分類特性としてWLとΙpが用いられる。

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