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伊藤教授の土質力学講座
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第8章 基 礎(地盤の力学)
構造物の基礎に対する技術は、人類が知った最も古い知識の一つというこ
とができる。たとえば、古代の人間でも岩盤や砂利層は丈夫であるが、湖辺
のような軟弱地盤には、杭を打たねば住居を建てるには無用心なことを知っ
ていた。また、わが国でも中世に入って城を築く必要に伴い、大きな構造物
は丘陵その他の比較的堅い地盤の上に作らなければならぬことが認識され、
その結果、今日でもなお、多くの城や石垣がその偉容を保存している。
しかし、20世紀初頭までは、基礎の設計は技術というより、職人や棟りょ
うの感とか経験にまかされていたと言ってよく、ごく最近になって、技術者
がこの問題を科学的に研究し始めたのである。

8.1 良好な基礎として必要な条件
基礎とは、一般に、構造物の重さを地盤に伝える構造そのものを言うが、
ある場合には、その下の地盤をさすこともあるので、ここでは広く定義し、
この両者を含めて基礎とよぶことにする。
満足な基礎として留意されねばならぬ条件は、次のようなものである。
(1)安全に荷重を支えること。
(2)沈下量が許容限度以下であること。
(3)基礎構造そのものの強度が十分で変形が少ないこと。
(4)耐久性と安定性があること。
(5)既存および将来の隣接構造物に支障を与えたり、受けたりしないこと。
(6)施工が容易で安く、かつ後期の短いものであること。
以上、基礎として必要な諸点を列記したが、これらの内で、(1)、(2)
は地盤に関する問題である。すなわち、(1)は地盤の支持力のことであり、
この地盤には、どのくらいの荷重を載せることができるかということで、非
常に重要な問題でありながら、まだ適確な解答が得られていない。(2)は
地盤の沈下・変形のことである。沖積層のような軟弱な地盤、あるいは比較
的堅い土層と弱い土層の互層地盤などでは、かなりの沈下が見込まれるので、
構造物に被害を与える変形ならびに不同沈下は避けなければならない。
(3)、(4)は、基礎構造自体に関するものであるが、構造そのものの強
度が十分でないと、たとえ地盤に変形がない場合でも破壊を引き起こすもの
である。また、根入りが不十分であったり、乾湿の交代の激しい所で、木材
や鋼材など腐食性の材料を用いることは、耐久性の面から考えて、特に注意
すべきである。
(5)、(6)の事項は、どちらかといえば施工法の問題である。最近、人
家の入り組んだ市街地において、深い掘削や地下鉄工事の基礎の根堀りなど
によって、今まで支障のなかった建物に沈下や破壊を引き起こすことがあり、
また、その被害を受けることもあるので十分な検討が必要である。また、施
工上、いちじるしく危険を伴うとか、多額の経費を要する基礎は、いかに理
論的に優れていても避けなければならない。
このほか、橋脚および海岸構造物の基礎など洗掘を受けやすい場合、冬季
凍害を受けやすい場合には、基礎を特に深くするなどの考慮が必要である。
なお、良好な基礎として必要な条件を図−8.1に示した。


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