■私のコンクリート補修物語
第2部 アルカリ骨材反応 堀 孝廣

2.6 コンクリートの内部では

 2.5で、ひび割れの状態からアルカリ骨材反応による被害かどうかを判定する目安について述べた。その他、コンクリート中のアルカリ量の調査、偏光顕微鏡による骨材の岩種の判定、コア抜きした試験体による膨張量の測定など幾つかの測定をしないとアルカリ骨材反応であると断定することはできない。これらの測定法の詳細は、専門書に譲るとして、ここでは目で見て判断するために、次にコンクリート片をはつりとって、コンクリートの内部を観察して見よう。以下に、アルカリ骨材反応を起こしたコンクリート片の写真を紹介する。

 骨材の周辺部に反応リムと呼ばれる隈取と骨材内部に向かってのエフロ状のものが見られる。このエフロ状のものははつり出した直後には、半透明場のゲル状態であるが、乾燥すると白く、エフロ状態になる。また、この写真では見難いがモルタル部分のひび割れや骨材自身が割れていることも多い。

 このような隈取、半透明のゲル状物、モルタル・骨材のひび割れは、アルカリ骨材反応で良く見られる現象ではあるが、100%のコンクリートで見られるわけではない。反応リムの見られないコンクリートも幾らでもある。外観観察におけるひび割れの発生状態と合わせて、総合的に判断されるべきものである。


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