■コンクリートの締め固め 「バイブレータ選定の基礎知識」
4.バイブレータ選定の基礎知識

現在我が国のバイブレータに関する規格は、JISA8610 コンクリート棒形振動機 JISA8611 コンクリート型枠振動機 があり棒形バイブレータで8000vpm 以上 型枠バイブレータで3000vpm 以上と規定されていますが、一流バイブレータメーカーの製品であればこれをはるかに越える性能のものが供給されていますので、ここではなぜ「高周波バイブレータ」が今日の主力となったかをまとめてみます。

(A) (B)

上図は、物質の質量によって,振動数の違いにより与えられる影響が異なることを示しています。1枚の板の上にそれぞれ質量 (重さ)の違う象、少年及びテントウ虫が乗っています。

そして同図中(A)は、周波数の低い振動の影響を示しており、重量の大きな象はかなりゆすられていますが、軽い少年やテントウ虫にはほとんど影響が出ていません。

それに対して、高い周波数の影響を示す(B)では、象は平気な頗をしているのに対して、少年はかなりの振動をうけ、テントウ虫に至っては非常に大きな影響をうけています。

このように振動の影響は、被振体の質量に関係し、軽い物体には高周波の振動が効果的であることがわかります。このことはフレッシュコンクリートにも当てはまります。粗粒な粗骨材の移動には1500vpm度の低周波、細粒な粗骨材には3000−6000vpm、そして細骨材やセメントペースト部分には9000~14000vpmの高周波の振動が有効なのです。

かつてはこの振動数を得る為に、小形ガソリンエンジンをVベルトで増速したり( E-MF型) 、2ポール誘導モーターをギア増速したり (HVP型) していた時代もありましたが、今日では商用電源の周波数 (50または60Hz)をインバーターでもち上げる技術により、振動部に内蔵された特殊モーターで直接振り子を駆動する「高周波バイブレータ」が主力となりました。

また、このバイブレータはインバーターあるいはコンバーターからバイブレータまでの間の電圧規格を48Vに下げてあるため、

労働省 労働安全規則
第333条 (漏電による感電の防止)
第334条 (適用の除外)

通商産業省 電気用品取締法
別表第8 (共通事項 構造)

通商産業省 電気設備技術基準
第4節
第28条 (機械器具の鉄台及び外箱の接地)
第41条 (地絡遮断装置等の施設)

などの規定により、接地 (アース) を行う必要がなく、(ある場合には接地が危険を招くことがあり得ます) また、作業重量が旧来の機種に比べて軽い など 多くの特徴をもっています。さらに 実用新案製品であるHBMフィンヘッドは 独自の振動部形状によりコンクリートへの振動伝達ロスを防ぎ、良いコンクリート作りに最良の結果をもたらします。


*この講座はエクセン株式会社の協力・承諾を得てお送りしています。

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