■コンクリートの締め固め 「バイブレータには標準的な処理能力があります」
5.バイブレータには標準的な処理能力があります

具体的な使用方法

例えばダム用のHIB150H 油圧バイブレータ(世界最大 振動部径 150mm)ですら 1本が1時間に処理できる スランプ3cm 骨材粒径 150mm のコンクリ−トは25m3までです。

同様に、1時間当たり30m3 の圧送能力をもつポンプ車の筒先には、(たとえスランプ18cm程度の建築用生コンであっても) 40mmバイブレータが2本は待っていないと、供給に締固めが追いつけず 締固め不足を生じてしまいます。

弊社は、カタログに機種別時間当たり処理能力を表示すべきと考えていますが、現場に於ける諸条件が異なりすぎる為に 実現できていない事をお詫びせねばなりません。たしかに施工コストは引き下げなければなりませんが、どうか、打設作業員とバイブレータだけは充分な用意をしてください。打設の失敗は、今まで苦労してきた設計、仮設、基礎、その他全ての作業をむなしいものにしてしまいます。

棒状バイブレータは、有効範囲以内ごとに挿入してコンクリート容積の減少が止り、表面にモルタルが平均的に浮上して、光りを帯びたように見えてくれば、練固めは終了です。

引抜きの際は穴が残らないよう、ゆっくりと引き上げます。

以上の基本に加えて、特に次の点にご注意下さい。

1)

コンクリートの打継目は、構造物の弱点となるので、できるだけ全体を打継目なしの単一体につくる必要があります。

このため、あらかじめ定められた作業区画は打ち終わるまで連続してコンクリートを打たなければなりません。

整備された、充分な台数のバイブレータを用意しておかねばなりません。

2)

コンクリートの投入中に、あるいは打上りに粗骨材が分離した部分ができた場合、分離した粗骨材はすくい上げて、モルタルの十分あるコンクリートの中に埋め、十分にバイブレータをかけて下さい。

じゃりの多い所をすくい取り、
やわらかい所に入れ、
十分にバイブレータをかける。
じゃりの多い所へ
やわらかいコンクリートを入れる。
3)

上部にコンクリートを打ち込み締固める際に、下部のコンクリートが幾分囲まり始めている時には、バイブレータを下部コンクリートに10cm程貫入し、せまい間隔で再振動すると非常によい結果が得られます。

この際、あらかじめ下部コンクリートに適度に遅延材を添加しておけば、再振動締固めに適する時期を延長でき、**コールドジョイントの防止にも役立ちます。この方法は二層打ちと呼ばれます。

**コールドジョイントとは
連続して多量のコンクリートを打ちこむときや急結剤を用いたコンクリートを打ち込むときなどに、打ち込みを遅延させたりすると、先に打ち込んだコンクリートとの間に肌離れを生ずる現象を言います。

4)

斜面、法面の打設の場合には必ず下方から投入を始め、バイブレータも下からかけ始めます。それはあとから打ったコンクリートの重みと振動で良く締まるからです。

反対に、斜面の上部から打ち始めると、下方のコンクリートを引っ張ったり流動したりしてしまいます。


*この講座はエクセン株式会社の協力・承諾を得てお送りしています。

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