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水の話
■水の話 ~化学の鉄人小林映章が「水」を斬る!~
1章 水の構造と性質 小林 映章

1.2 水の性質

1.2.4 水の注目すべき特性(3) —融点、沸点—
—水の融点、沸点は同系列の他の物質と比較して極端に高い—
 水HOの融点や沸点を、元素の周期表で酸素と同じ16族元素に属する硫黄S、セレンSe、テルルTeの水素化物、すなわち、硫化水素H2S、水素化セレン(セラン)H2Se、水素化テルル(テラン)H2Teの融点、沸点と比較してみました。また、参考のために、14族元素である炭素C、珪素Si、ゲルマニウムGe、スズSnの水素化物である、メタンCH4、シランSiH4、ゲルマンGeH4、スタンナンSnH4の融点と沸点も調べてみました。その結果を表7および図5に示しました。図には沸点のみを示しました。融点も全く同じ傾向にあることは、表7をみれば明らかです。



 16族元素の水素化物の融点、沸点をみますと、水を除く3種の水素化物の値は分子量が大きくなるにつれて高くなりますが、最も分子量の大きいテランでも常温では気体ですから、水だけが飛び抜けて大きい値を示していることが分かります。14族元素の水素化物では、分子量が大きくなるに従って融点、沸点がきれいに大きくなっています。

 一般に同じ族に属する元素が同じような分子を作るときには、分子間に働く分子間力が分子量が大きいほど強くなりますので、融点も沸点も分子量が大きくなるほど高くなるはずです。分子量が小さい水の融点、沸点が際だって高いのは、水分子が互いに水素結合により強く結び合っていることを示しています。


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