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水の話
■水の話 ~化学の鉄人小林映章が「水」を斬る!~
3章 水資源 小林 映章

3.2 日本における水の使用と汚染

3.2.7 水質の現況
—水質浄化にはいっそうの努力が必要—
(健康項目の現況)
 前節で公共水域について人の健康保護に関する環境基準(健康項目)を示しました(地下水も同じ)が、全国の公共水域および地下水の基準達成程度がどの位かを調べるための測定が平成10年に行われています。測定結果を表22に示しました。

 全国公共水域の測定結果によりますと、全国5,409測定地点のうち、環境基準を超える測定地点は27地点(0.5%)で、達成率は99.5%となっています。

 地下水では調査対象井戸4,850本のうち、101本(2.1%)について環境基準を超える項目がみられました。地下水の汚染は徐々に現れてくるだけに問題です。

 公共水域、地下水を通覧すると、基準値を超える項目として、鉛、ヒ素、およびクリーニング等に用いられるトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等が目立っています。

(生活項目の現況)
 生活項目のBODまたはCODが河川(BOD)、湖沼(COD)、海域(COD)について測定されています。それによりますと、河川と海域は年々改善されていますが、湖沼の改善は進んでいないようです。

 平成9、10年の環境基準達成率(環境庁調べ)は河川(BOD)がそれぞれ80.1%、81%、海域(COD)が74.9%、73.6%に対し、湖沼(COD)は41.0%、40.9%と低い値を示しています。表23、表24、表25に河川、湖沼、内湾のBOD又はCODを示しました。

 なお、国民が日常生活で不快感を感じない「環境保全」に関する環境基準は次のようになっています。

河川(BOD): 10mg/l以下
湖沼(COD): 8mg/l以下
海域(COD): 8mg/l以下

 環境保全基準はかなり甘い感じがします。サケ、マス、アユなどの、生育条件はBOD、CODとも3mg/l以下、自然繁殖条件は2mg/l以下ですから、水域の現況はまだまだ厳しいと云えます。


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