■夢追人のコラム:1999年08月10日号
No.03:ISOがわれわれを変える!? 夢追人

本コラムを書くにあたって、社団法人日本建材産業協会主催の「内部品質監査のための能力開発講座」、建材試験センター、ISO審査本部品質システム審査部長森幹宇芳氏の、「ISO9000シリーズを取り巻く環境」の講演、資料を参考にさせていただきました。

ISOシリーズの世界全体での登録件数は、1997年10月時点で 226,349になっており、特に、1995年からアメリカ企業の登録が著しく増加している。 日本の現状は、1999年3月末現在 9,482件で、年 2,000件のハイペースで登録されていることを考えると、現時点では既に 10,000件を超えていることと想定される。
我々に関わりがある建設産業を資料より見ると、今年3月末で建設 1,097件、サービス(設計・調査等) 1,280件と、全件数に対しそれぞれ 10.7%, 12.5%、併せて 23.2%となり、電気・電子の 28.8%に次ぐ位置であり、いかに業界が強い関心を持っているかを知ることができる。特に大手、中堅ゼネコンは殆ど登録済みで、今後は中小(地方の主要)ゼネコンに広がりつつあるとのことである。
一方コンクリート製品業界の実態は、建材試験センターが扱った審査登録の資料で見ると、全登録件数 507件のうちALCを含め 11件、2%少々に留まっている。コンクリート製品メーカーの直接かつ最大の顧客である、大手・中堅ゼネコンが必死でISO登録に取り組んでいたのであるから、当然同様に挑戦すべきはずだったのに...... ,ISOに対する認識・評価が低いと言わざるをえないだろう。

建設省が進めている建設CALS/ECが近い将来完全実施された場合、対応が遅れた企業は、今以上に厳しい状況に追い込まれる恐れがある。
というのも、ISO9000シリーズとCALSとが表裏一体となって建設産業が構築されるからでる。その結果、メーカーとして顧客からその存在価値を認められない企業も出てくる。自分が造った製品の性能保証、品質保証ができないメーカからの買値は一方的に顧客に決められることになる。
何故なら、顧客自ら性能・品質の確認と維持の責任を果たすための管理をしなければならず、そのための費用が発生するから当然のごとく低価格を要求してくるからだ。
企業にとってその存続と適正利潤が、顧客への継続奉仕と社員の生活・未来への原資と考えるとき、この遅れは命取りとなるかもしれない。
コンクリート製品のメーカーは規模の大小を問わず、ISOシリーズ登録の問題を真剣に考えるときが来ているのでは?


前のページへ目次のページへ次のページへ